概要
口のなか、顎の骨、その周辺の病気やけがの診療をしています。
舌、頬粘膜、歯肉、口唇、顎、頚部などの病気や異常そして口内炎、親知らず(智歯)抜歯などです。
地域の口腔外科難症例の窓口として、その患者さんにとって最良と思われる医療を提供しております(診療実績をご参照ください)。
一般歯科(むし歯、入れ歯など)は行っておりませんので、ご了承ください。
診療内容
親知らず(智歯)などの難抜歯
迅速、安全、低侵襲を心掛けております。切削には滅菌済みの5倍速エンジンを使用。年間に約2000本もの下顎埋伏智歯抜歯を外来局所麻酔下でしております。抜歯中断歯、上顎洞迷入歯、インプラント抜去などもおまかせください。
埋伏過剰歯
小児の埋伏過剰歯の抜歯は、時期をみて外来局所麻酔下でしております。年間約40例ほどです。
顎炎、歯性上顎洞炎などの歯性感染症
むし歯、歯周病が原因で細菌感染をおこし、顔面、顎、頚部、副鼻腔などに膿がたまり、腫れて痛みます。進行が速くすぐ重篤な状態になるため、早めの受診をおすすめします。首から上の炎症の原因は歯由来のことがとても多いです。
顎骨骨折、顔面骨折、歯、口の外傷
歯のかみ合わせの正確な回復、骨折線上の歯の処置が必要です。手術では口腔内切開のみで、顔に傷を残しません。開院以来360例ほど手術経験しております。
顎骨のう胞、腫瘍
顎骨にはのう胞(ふくろ状の病気)や腫瘍などいろいろな疾患があります。無症状で歯科医院でのレントゲンでわかることが多いです。巨大な病変も開窓療法にて顎骨を切断せずに保存につとめます。当科では抜歯の次に多い手術です。
粘液のう胞
下唇や舌尖部に唾液が貯留してできるやわらかい腫瘤です。小児に多く、あせらず時期をみて、短時間の外来局所麻酔手術です。
唾石症
顎下腺(顎の下の唾液腺)に石ができて、食事時に腫れて痛みます。
従来は頚部皮膚切開をして顎下腺体ごと摘出していたものも、手術方法を工夫し、口腔内から唾石のみの摘出をこころがけております。
顎下、頚部の腫脹
顎下型がま腫とのう胞型リンパ管腫は、手術ではなく薬物療法を第一選択としております。
全身疾患の口腔症状の診断
口腔外科の診断で、全身疾患が発見されるものもあります。シェーグレン症候群、天疱瘡、貧血、白血病、節外性悪性リンパ腫などです。
口内炎、口腔粘膜疾患
口内炎にもいろいろあります。口腔扁平苔癬、白板症など。
口内炎や傷と思っていても舌癌などの場合もあります。特に同じ部位でなかなか治らないものはご相談ください。
骨隆起
患者さん専用の保護用のシーネを必要に応じて作ります。
有病者の抜歯などの口腔外科処置
心臓病、糖尿病、骨粗鬆症など、主治医と連携を取りすすめます。抗血小板薬、抗凝固薬などの中断は基本的にはしません。
舌癌などの悪性疾患
多くの口腔癌の初期診断を経験してきました。見て触っての臨床診断はおまかせ下さい。治療は、口腔癌専門施設に任せるものと考えております。連携をとり迅速に対応しております。
その他
多くのものは、できるだけ外来手術でしております(診療実績参照)。
当科のみでは治療ができないものは他科、専門施設との協力、連携の上、迅速に対応しております。すべてできるわけでなく、最良の医療を受けていただきたいからです。
初診の際、ご持参いただくもの
- お薬手帳
- かかりつけ医の診察券
- 糖尿病手帳(HbA1cの値)
などをご持参ください。
親知らず抜歯について
- 初診日(予約で初めて来院した日)に抜歯することはありません。まず初診されて、抜歯日(平日のみ)の予約をしていただきます。
- 紹介状をもらったからといって、多くは緊急性がないものです。術後にゆとりのある日程で、抜歯日を決めることが大切です。
- 若い時期に終わらせることをおすすめします。他の必要のない智歯もこの機会に抜歯することをおすすめします。
- 同側(右なら右)上下は同時に、左右は1ヶ月くらい開けての日程をおすすめします。
- 静脈麻酔、笑気麻酔を使用せずに、局所麻酔の手術です。
- 腫れている時は抜歯できません、炎症をおさえてから抜歯します。
最近の状況(2020冬)
新型コロナ感染対策のため
- 4~6月まで予定していた親知らず抜歯などの緊急性の無い外来手術の延期をしておりました。緊急事態宣言が解除されてから、飛沫・接触感染に注意し、それらの手術を再開しております。ここしばらくは、それらの手術の予約日が少し先になることをご了承ください。
- 緊急性のあるものは、迅速に対応しております。
- 新患の受診制限などはしておりません。まずは受診されてください。
院内感染予防のため、ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
診療実績
入院手術件数 全身麻酔手術 | |||
---|---|---|---|
主な手術名と件数 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 |
悪性腫瘍(白板症を含む) | 3 | 1 | 3 |
良性腫瘍 | 2 | 0 | 2 |
顎嚢胞 | 28 | 10 | 12 |
顎骨腫瘍 | 1 | 3 | 5 |
顔面骨折 | 11 | 8 | 6 |
唾液腺腫瘍 | 1 | 3 | 2 |
唾石 | 2 | 3 | 3 |
消炎手術 | 1 | 0 | 2 |
抜歯 | 1 | 2 | 2 |
その他 | 4 | 4 | 5 |
計 | 54 | 34 | 42 |
入院手術件数 全身麻酔以外 | |||
主な手術名と件数 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 |
消炎手術(MRONJを含む) | 36 | 33 | 20 |
抜歯 | 1 | 0 | 0 |
その他 | 8 | 6 | 4 |
計 | 45 | 39 | 24 |
外来手術件数 | |||
主な手術名と件数 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 |
埋伏歯抜歯(本数) | 1,913 | 2,072 | 2,150 |
正中過剰埋伏歯抜歯(症例数) | 50 | 37 | 41 |
その他抜歯(本数) | 1,875 | 2,017 | 1,971 |
腫瘍切除術 | 42 | 26 | 51 |
粘液貯留嚢胞摘出術 | 49 | 51 | 31 |
顎嚢胞摘出もしくは開窓術 | 91 | 87 | 100 |
歯根端切除術 | 25 | 23 | 40 |
消炎手術 | 158 | 186 | 200 |
外傷 | 44 | 26 | 27 |
外傷歯整復 | 18 | 19 | 10 |
骨隆起等形成術 | 8 | 20 | 40 |
インプラントなど除去術 | 9 | 9 | 20 |
小帯形成術 | 18 | 12 | 12 |
顎関節脱臼非観血整復術 | 7 | 15 | 20 |
唾石摘出 | 12 | 12 | 10 |
その他 | 15 | 28 | 17 |
計 | 4,334 | 4,640 | 4,740 |