今回の展示は私が2011年に起こった東日本大震災の後、「東日本げんきアートプロジェクト」という被災地にアートを届ける活動で2012年から訪れていた岩手県大槌町に、今年の夏は個人で行き、見たり感じたりしたものをこの5年を振り返り作品にしました。

初めて大槌を訪れた私は、そこで見たことのない景色に出会いました。衝撃的だったのは最初の年の焼け野原のようなまったく何もないグレートーン一色の世界。普段、新宿などの喧騒でごちゃごちゃに色が飛び込む世界がうるさく感じていたのが、色というものの有難さに気づきました。それから大槌の自然の風景の美しさにも感動しました。また、この5年間で出逢った人々の苦労の中の笑顔。大槌に行くと、私もまた大槌の方と大槌の自然に癒されるのでした。

私は15年前にうつ病になり動けなくなりました。病院に行って薬を飲んでもなかなか思うような結果も出ず、その間にメニエル病にもなってしまいました。今は自分に合った薬がみつかり、通院中ではありますが、両方ともかなり良くなり、こんなに活動できるようになりました。でも、そこまでは本当に一進一退を繰り返し、薄紙をはぐように少しずつよくなる感じで、最初の5年は出口の見えないトンネルに入ってしまったような毎日で、死なないようにする闘いでした。

被災地で被災された方の話を聞いていると、自分の病気の時の気持ちととても似ていて、今回、その想いを伝えたいと思うに至りました。

今回の作品は被災地で撮った写真を参考に自分が伝えたいことを絵にしました。

大きい作品は大槌出身のトランぺッター臺隆裕さんのつくった「1285」という曲で大槌にてライブペインティングした時の作品です。

ある方が「病気は肉体に起こる自然災害みたいな気がします」と言ってくれました。

私の周りには病気をかかえる沢山の美しい人がいます。

私の周りには被災地で生きる沢山の美しい人がいます。

お互いに助け合い、励まし合い生きていきたいという願いをこめて描きました。

おこがましいですが、この作品が、私という存在が何かの役に立ててば幸いです。

和田 奈緒美

川口市立医療センター 〒333-0833 川口市西新井宿180